シェアハウス全国行脚 in 北海道:日本最北端・湯治の街のシェアハウス① 〜湯治客が集い、住まう場所を・ヤドカリハウス

2015-12-21

こんにちは、ライターのまりもです。

ライターまりものシェアハウス全国行脚。

全国のシェアハウスを巡り、それぞれの「100人100家100色」なシェアハウス生活・コミュニティ作り・人々の生き方をお届けします。

※第1弾はこちら⇒愛媛県

第2弾は、日本最北端のシェアハウス!? 北海道豊富町にある2軒のシェアハウスにお伺いしました。

 

北海道豊富町ってどんなまち?

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豊富町は、札幌からバスで5時間、日本最北の温泉郷・豊富温泉で有名な街。豊富温泉の、石油の匂いや油分を含んだ独自の泉質が、アトピー性皮膚炎や乾癬に効果があると注目されており、アトピー性皮膚炎等に悩む多くの方が湯治目的にこの街を訪れます。

そんな豊富町にある2軒のシェアハウス。

今回は、2015年5月にオープンしたヤドカリハウスをご紹介します。

 

ヤドカリハウスとは?

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※写真はヤドカリハウスHPより抜粋

豊富駅から徒歩15分・豊富営業所バス停から徒歩5分。

豊富町在住の建築家・志賀さんが「湯治目的の人の集いの場を」との想いから、2015年5月に立ち上げたビジネスホテル&シェアハウスです。

 

ヤドカリハウス発起人が語る!アトピー湯治×シェアハウス

ヤドカリハウスのオーナー・志賀さんと、立ち上げに関わった千葉さんにお話をお伺いしました。志賀さんは、建築家・豊富町の建設会社・志賀組の社長、千葉さんは、建築会社・大建産業の社長をお勤めでいらっしゃいます。

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左:千葉さん、右:ヤドカリハウス オーナー・志賀さん

アトピーの湯治目的の移住者・長期滞在者が集い、住まう場所を作りたい

志賀さん:豊富町は湯治のまちです。年齢問わず、全国から、最近では中国やロシア等の海外からも、アトピーに悩む人たちが湯治に訪れています。特に7~9月の時期は、豊富温泉が湯治客で満杯になるほど。

でも、今まで、湯治客の受け皿が不足していたんです。行政の対応可能な手当の範囲は限られています。アトピーの湯治目的の移住者・長期滞在者が集い、住まう場所を作りたいと思い、ヤドカリハウスを作りました。

 

アトピーの人に優しい素材を使用

志賀さん:ヤドカリハウスでは、シーツや枕カバーには、肌に優しい素材を使用し、洗濯洗剤も無香料のものに統一しています。アトピーの人にとっては、肌に触れる素材や洗剤はとても重要です。洗剤を各自持ち込み式にすると、前の人が使った洗剤の残り香が洗濯機に染みついていて、その洗濯機で服を洗濯したことで、肌がかぶれる可能性もあるので。

また、共有スペースの一部には、珪藻土という、肌に優しい、上質な塗り壁を使用しました。肌に優しいという点については、細心の注意を払っています。

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肌に優しい無添加の洗濯洗剤。

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個室の写真。シーツや布団カバーには、肌に優しい素材を使用。

 

シェアハウス経験者の意見を活かした家づくり

千葉社長:私は主に、建物の設計に関わりました。志賀さんと相談して、湯治移住者でシェアハウス経験者のデザイナー夫婦の意見を、建物の設計や家具・家電選びに取り入れたんです。細部にわたって、シェアで暮らしやすい工夫を取り入れました。主なものは以下の2点です。

1つ目は、共有部分に、個人の収納スペースを広めに確保したことですね。1人分ずつで棚を区切る、共用冷蔵庫に広めの個人収納スペースを設ける、洗面台に1人分ずつコップを置くスペースを置く等、シェアハウス経験者の意見を取り入れて、シェアでも暮らしやすい設計をしました。

2つ目は、二階の共有スペースです。キッチンとリビングを広めに確保しました。最初は、リビングをもう少し狭くして、もう一部屋個室を確保する想定でしたが、シェアハウス経験者の「住民が集うスペースがあった方がいい」との声を生かした設計にしています。また、テーブルだけじゃなく、寝転がるくつろぎスペースも確保しました。

細かいニーズに応えていくことが、ゆくゆくはみなさんに長く使ってもらえることにつながると考えています。

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冷蔵庫。業務用冷蔵庫をシェア。1人分の収納スペースが広く確保されている。

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キッチンスペース。

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2階のリビング。奥にはくつろげるスペースも。

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2階のリビングは、住民だけでなく、近所の人も集う憩いの場となっている。

 

入居者の置き土産はハウスルール!?

志賀さん:ハウスルールは、オープン後に、入居者達が、住みながら「ここはこうしよう」と自主的に作ったものなんですよ。自らアンケートを取って、意見を集約して、ルールを作成していました。湯治を終えてヤドカリハウスを出た人たちの置き土産ですね。

 

入居者に聞く!ヤドカリハウスでの生活

2015年10月31日時点で、湯治目的の方が5名入居。北海道内の旭川、神奈川、埼玉等、全国から豊富温泉の評判を聞き、訪れたとのこと。滞在期間はさまざまで、1週間、3~4週間という人もいれば、1ヶ月以上住む人もいるとか。

今回は、旭川から湯治に訪れ、ヤドカリハウスに滞在中のOさん、関東出身の大学生のIさんに、ヤドカリハウス、豊富町での暮らしについてお話を伺いました。

湯治という共通の話題・悩みの共有

2015-12-21

豊富温泉のHP

Oさん:アトピーの人は、自分自身で悩みを抱え込んでしまいがちなんですよ。周りの人や家族は、心配してくれるけど、実体験としてアトピーの辛さを味わっていないから、「理解」はしてくれない。

ヤドカリハウスでは、入ってきた瞬間に、アトピーや湯治という共通の話題があるので、すぐに打ち解けられますね。夏の暑い時期に、肌に熱を持ってしまうアトピー特有の症状で苦しむことや、冬の乾燥の辛さ等、ここに集う湯治仲間だからこそ、分かり合えることがたくさんあります。

また、ここに入居者や近所の人が集う時には、自然と「ここの温泉良いよ」と情報交換したり、効果的な治療法等を学び合えたりもします。悩みや治療法を共有できる場があるのは、ビジネスホテルや旅館等にはない、シェアハウスならではの良さだと思います。

 

自分を見つめ直すきっかけになった共同生活

Iさん:初めて豊富町を訪ねたのは、2015年8月。「大学生活、何か面白いことやりたい!」とボラバイトで検索して、酪農体験を目的に豊富町に来ました。その後持病のアトピーに気づいて、今度は湯治に来ています。ここに来て、アトピーや湯治という同じ悩みを持つ人と共同生活をして、いろんなことに気づけました。自分を見つめ直すきっかけにもなりましたね。

 

ヤドカリハウスオーナーに聞く!ヤドカリハウスと豊富町のこれから

最後に、ヤドカリハウスと豊富町のこれからについて、オーナーの志賀さんにお話を伺いました。

街の人と湯治客がつながり、コミュニティが育つ場に

志賀さん:豊富町に長期滞在、もしくは移住する人が増えて、ヤドカリハウスが湯治客とまちの人がつながる場所になっていけたらと思います。長期滞在・移住にあたっては、雇用の創出等課題はありますが、ここはインターネット環境は完備されているので、リモートワーク可能な人は、働きながら湯治も可能なのではないかと。アトピーに悩む人が、湯治をしながら自分のスキルを生かしてできる範囲で仕事をしながら暮らす、ヤドカリハウスはそうした人たちの受け皿になっていけたらと考えています。

 

利用者目線に立った細やかなハード面の設計に見られる「湯治客が集い、住まう場所をつくりたい」という志賀さんや千葉さんの熱い想い、そしてそこに住まう人たちの「同じアトピーの湯治を目的とするシェア生活」のお話をお伺いして、新たなシェアの可能性を感じた、ヤドカリハウス滞在でした。

ヤドカリハウスオーナー・志賀さん、千葉さん、そしてお話をお伺いした入居者の方々、本当にありがとうございました!

次回は、北海道豊富町にあるもう1軒のシェアハウス・餅Cafe&Stayわが家訪問の様子をお届けします。乞うご期待。

 

※お問い合わせ先

以下のHPよりお問い合わせください。

ヤドカリハウス HP:http://yadokari.house/