【かぼちゃの馬車】の破綻から見るコミュニティシェアハウスと格安シェアハウスの違い

最近若い世代で流行っているシェアハウス

若い世代を中心にシェアハウスの利用が一般化しています。家を複数人でシェアするスタイルは、数年前まで『そんな暮らし方もあるんだね』程度の認識でしたが、現在は住まいの形の1つの選択肢として選ばれています。
自分のお部屋とは別に、共同利用できる共有スペースを持った賃貸住宅のことで、共同住宅ならではの「共有」と「交流」を楽しめるあたらしい暮らし方として人気を集めています。
シェアハウスは、通常の賃貸アパートに比べ初期費用・毎月の費用を抑えてリーズナブルな価格で住めるところも大きな魅力のひとつです。

 

 

共有スペースは、入居者同士が交流出来るラウンジなどの他にキッチン、お風呂、トイレなどの水周りのスペースなどがあります。
その他にも、通常の一人暮らしでは中々手が届かない大型スクリーンを配したシアタールームやフィットネススタジオ、本格的な楽器演奏が可能な防音室のある物件も。
また、シェアハウスが持つコミュニティに注目し、「国際交流」、「スポーツ」、「料理好き」など共通の趣味を持つ入居者を集めたシェアハウス、ITスキル向上や起業家支援などのビジネスパーソン向けのシェアハウス、アーティストの創作活動を応援するクリエイターのためのシェアハウス就活生支援シェアハウスなど、特徴を持った物件もどんどん増えています。

 

シェアハウスの需要が増えるにつれて、投資として利回りがいいことも注目されてシェアハウス運営者は増える一方。ひつじ不動産、東京シェアハウスなどシェアハウス専門サイトもたくさんあります。

 

 

急速に競争が激しくなる中で、シェアハウス事業は、2極化していると言われています。

・物件に対して家賃の安さや立地を重視したいわゆる『格安シェアハウス』
・立地やハード以上に、住民との交流を重視した『コミュニティシェアハウス』

と、シェアハウスは2つのタイプに大きく分かれますが、前者の価格勝負の『格安シェアハウス』の競争が激化しています。
価格以外で差別化できないため、立地が悪かったり、物件が古くなると入居率を守るためには家賃を下げるしかなく、価格競争の螺旋に陥っています。
2017年からは、撤退する業者や、管理会社を変更するシェアハウスも増えてきています。

シェアハウス業界を賑わせている「かぼちゃの馬車」も価格勝負の『格安シェアハウス』でしたね。

「かぼちゃの馬車のニュースって何?」と思われた方は、こちらの記事で分かりやすく解説しましたので、こちらをご覧ください。

【巷で話題のかぼちゃの馬車の破綻から見る】コミュニティーシェアハウスと格安シェアハウスの違いについて聞いてみた!

その中で、「コミュニティ作り」に特化して順調に規模を拡大しているのが、今回取材をさせていただく絆家シェアハウスです。
シェアハウスのコンセプトを明確にし、住民との交流を重視する『コミュニティシェアハウス』を運営する「株式会社絆人」代表 平岡さんに、「今後のシェアハウス業界でコミュニティが大切な理由」と、「居心地の良いコミュニティをつくるポイント」を伺ってきました。

 

🌟入居期間は業界平均2倍!「居心地のいいコミュニティー」を作るポイント

なつき
絆家シェアハウスでは、現在どのくらいの人数が住んでいるのですか?

まーしーさん
現在は、東京・千葉・大阪と全7棟170人規模の住民が暮らしています。『第二の家族をつくる』をコンセプトに、住民同士は一緒にごはんを食べたり、休日にスポーツを楽しんだり、長期の休みには旅行にいったりもします。姉妹シェアハウス同士も『親戚ハウス』のような関係でシェアハウス同士間の交流も充実しています。

なつき
絆家シェアハウスには、どんな方が住んでるのでしょうか?

まーしーさん
男女比は6割男性、4割女性。年齢は下が19歳から上は30代半ばぐらいですね。ほとんどが会社員ですが、フリーランスで仕事してる人もいます。
社会人になって数年経ち、仕事が落ち着いて会社と家の往復に退屈になってきて、あたらしい刺激が欲しいなと入居してくる方が多いですね。あとは地方から都内に上京してくるタイミングですね。一人暮らしだと、礼金、敷金、仲介手数料と、また家具を新しく一通り揃えると引越し初期費用が40円-50万円と高くなってしまうので、今まで引越しに踏み切れない人が多かったと思います。
シェアハウスだと、礼金、敷金もなく、家具が最初からすべて揃っているので、引越しがしやすくなったと思います。人と住むことにそれほど高いハードルを感じない人なら、シェアハウスはひとつの選択肢になりますね。

なつき
平均でどれぐらいの期間住まれるんですか?

まーしーさん
シェアハウス業界全体の平均だと半年から1年ぐらいと言われてるんですが、私たちの場合は1年~2年ぐらいですね。引越しする理由としては、転職して勤務地が変わるとか、結婚するとか、ドミトリーに住んでたけど1人部屋に暮らしたいとか、そういうタイミングが多いですね。

なつき
業界平均の2倍長く住まれるんですね。なにか理由があるんですか?

まーしーさん
居心地のいいコミュニティが付加価値ですね。シェアハウスに暮らすことで、誰とどういう関係を作れるのかがポイントです。シェアハウスって敷金礼金がないので、立地や家賃の安さだけで選ばれると近くにもっと条件の良いところができると簡単に移られちゃうんですね。家具も備えつけを使う方がほとんどですから引っ越しも楽ですし、入りやすくて出やすい構造。
でも、居心地いいコミュニティがあれば、家賃の価格が理由で他に移ることは少ないです。私たちのシェアハウスでは、住民の歓迎会からはじまり、誕生日会などのイベントや、ごはん会など、住民の交流が密にあります。せっかくできた居心地の良いコミュニティから、少し家賃が安いからといって他のシェアハウスに移動したいとは思いませんからね。

なつき
立地や価格などのハードの部分ではなく、そこでの人間関係自体に付加価値を感じている方が多いということですね。その中でも何か住民同士の交流を促す仕組みがあるのでしょうか?

まーしーさん
私たちはシェアハウスのコミュニティを作る上で、大きく3つポイントに意識しています。1つ目はェアハウス毎にコンセプトをつけること。」2つ目は「学び場や部活など、趣味や目標で交流できるきっかけをつくること。」3つ目は「内見の時に絆家の大切にしている文化をしっかりと伝えること。」の3つです。

なつき
なるほど。ひとつずつ詳しくお伺いしても良いですか?

まーしーさん
1つ目は、シェアハウスにコンセプトをつけて、募集の時点で何かしら共通点がある方にアプローチしています。たとえば、「旅が好き、旅行が趣味」という方に向けた「旅するシェアハウス」や、アーティストクリエイターを応援する「アーティストシェアハウス」、英語を勉強したい方のための「国内留学シェアハウス」など、「第二の家族をつくる」という絆家としてのメインのコンセプト以外に、ひとつひとつシェアハウスにサブコンセプトがあります。こういう共通点があることで、共通の話題が生まれやすいので、新しく入居した方も馴染みやすくなりますよね。ハウスコンセプト自体が明確になっているとコミュニティもできやすいんです。他にも周りで増えてきてるコンセプトとしては、起業家シェアハウス、英会話シェアハウスなどがあります。これは広告を打つべきマーケットがはっきりしてるからです。起業家シェアハウスならビジネス系のセミナー、英会話シェアハウスなら英会話教室・日本語学校など、ターゲットがどこにいるか明確なものは事業として成り立ちやすいですね。

なつき
面白いですね!アーティストシェアハウスなんて初めて聞きました。同業の方と切磋琢磨してそれぞれのアートの活動に良い刺激を受けそうですね。続けて、2つ目の『学び場や部活』について お伺いしても良いですか?

まーしーさん
学び場というのは、シェアハウスによって月に2~3回、資格をもってる先生をお呼びして料理教室やヨガ、バリスタ教室などをリビングで開催しています。そうすると「料理教室があるから」「ヨガ教室があるから」と自然とリビングに集まりやすくなります。

学びの場や教室って外で受けようと思っても「わざわざ出かけるのが面倒くさい」「知らない人がいるから緊張する」と壁が出てきてなかなか長く続かないという経験がある人も多いと思います。

シェアハウスのリビングで開催することで、気の知れた住人同士なので安心して気軽に続けられるんですね。

学びの環境とシェアハウスって案外相性が良いと思いました。

それ以外にも、絆家では部活制度があります。一般のシェアハウスでは、各物件単位での交流がメインだと思いますが、絆家ではハウス間を横断した部活動が活発です。

「ボルダリング部」「卓球部」「フットサル部」「写真部」など、住民の趣味を活かした活動が、姉妹シェアハウス同士の横のつながりを作っています。

各物件の入居者は、15人~30人など、決してコミュニティとしては大きくはないですが、全体として170人の大きなコミュニティと繋がれるきっかけが溢れていることも、絆家の魅力のひとつに感じられているようです。

 

🌟立地で勝負できなくても、コミュニティで差別化する

なつき
大阪では旅好きのためのシェアハウスを運営されてますよね。

まーしーさん
はい、「旅するシェアハウス」という名前で運営しています。大阪には知り合いが1人もいなかったので、「旅」というコンセプトを明確にして、旅のイベントや旅好きが集まるバーなどに出向いていってコミュニティを広げていきました。

なつき
そんな草の根的で地道な活動をされてるんですね。

まーしーさん
自分も旅に興味があるからこそ出来ることですね。「旅好きが集まるシェアハウスをはじめました」と話して、外国人観光客にフリーガイドツアーやってる人たちや国際交流イベントの主催者たちとコラボ企画を月何回もやっていきました。そうやって旅好きに存在を認知してもらう。8割のシェアハウスは特にコンセプトがないので、こうしたテーマがあるとシェアハウスにそこまで興味のなかった人のアンテナにもひっかかってもらいやすいです。
旅するシェアハウスは大阪の北のほう摂津市にあるし、駅からも決して近くはありません。大阪の中心地ですらそんなに家賃は高くないですから立地やハードの部分だけでは差別化が図れません。住みながらいろんな外国人と触れ合えたり、普段は仕事でなかなか旅に出られない人が、日常生活の中で旅を感じられる生活の魅力を伝える。そういったハード面以外のソフト面の付加価値をどう付け加えられるかが大切です。

なつき
差別化のために重要なのは分かりますけど、コミュニティ作りに本当にすごい手間をかけてるんですね。

まーしーさん
そうですね、コミュニティ作りは仕組みだけでは作ることができません。住民との関係性を運営側も一緒になって深め、どうしたら住民同士がもっと仲良くなれるかを、対話の時間やイベントを通して育てていく感覚です。

私たちはシェアハウスは不動産業というよりサービス業に近いと思っています。

逆に、立地や価格だけを目的に住む方の多い格安シェアハウスでは、入居者のコミュニティのサポートまでできていないため、入居者同士の関係性まで育っていないことが多い。
「隣の部屋がうるさい」「誰々さんの発言が嫌」など、住民同士の関係性ができていれば起こりにくいクレームも多くなる傾向があります。事業者サイドでは、その都度入居者からの直接のクレーム対応に手間ばかりかかって入居率が上がらないという負のスパイラルに入ります。

しっかりと入居者間でコミュニティができていれば、ちょっとした意見のすれ違いや騒音などの問題は、入居者同士のコミュニケーションで解決できますし、そんな価値観の違いは、対話を通してより関係性が深まるきっかけにもなると思っています。

なつき
どういう人に住んでもらうか。そこからコミュニティー作りはじまってるわけですね。

まーしーさん
そうですね。それがシェアハウス内のコミュニティの居心地の良さに繋がっているし、入居期間の長さにもつながり、結果90%を超える高い入居率にも繋がっているのだと思います。

私たちは、「第二の家族をつくるシェアハウス」コンセプトとしながら、日本で今後、広がっていくと予想される “シェアする暮らし” の未来を「理想の家族コミュニティ」 という形でリードしていけるシェアハウスにしていきます。

今後は、私たちが7年間積み上げてきた「コミュニティ」という形のない関係性作りを、コミュニティ運営のコツとノウハウととしてしっかりと体系立てて伝えていきます。
その想いに共感してくれる他の事業者にもシェアハウスの本当の価値と感動を体験してもらいたいです。
私たちは、シェアハウスには、ただ住居を安くシェアするだけではない、人生が変わるほどの出会いと体験のきっかけが溢れていると信じています。

そんなコミュニティシェアハウスが日本にもっと増えることを願っています。

 

コミュニティシェアハウス『絆家』のHPはこちら。