「シェア」の概念を問う~コレクティブハウス・スガモフラット見学会

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こんにちは、ライターのまりもです。
コレクティブハウス・スガモフラット見学会に行ってきました!

 

コレクティブハウスとは?

コレクティブハウスとは、20世紀前半の北欧発祥の、共同生活のスタイルの1つ。

日本では、NPO法人コレクティブハウジング社(以下、CHC)がコレクティブハウスの企画・開発・運営・普及等に取り組んでいます。

コレクティブハウスの特徴は以下の5つです。

 

1.入居前から家づくりに参加

居住希望者は、入居前からCHC企画のワークショップに参加し、家づくりに関わります。インテリアの配置等のハード面から、ハウスルールの内容・掃除や食事当番等のソフト面に至るまで、ワークショップで話し合い、居住希望者同士で話し合って決めます。約10ヶ月〜1年半もの間、20〜30回のワークショップを通して、家づくりを進めていくとのこと。そこでの決定事項が、入居時の生活基盤になっていくそうです。

 

2.自主管理・運営

ファイル_000 (1)※月1回の定例会の様子。写真はスガモフラットHPより引用。

1.の居住希望者グループは、入居前には居住者組合を結成し、この居住者組合で、ハウスの運営を行います。清掃・食事当番、備品の購入、ハウスルールの運用、お金の管理等、生活のあらゆる問題を、住民からなる居住者組合で話し合って決めていくとのこと。月1回の定例会の他、トラブル等の際にはその都度話し合いの場を設け、住民同士で解決していきます。

 

3.コモンミール

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※写真は、スガモフラット居住者運営のブログ・スガモンズのブログより引用。

2.の自主管理・運営の1つに、コモンミールがあります。居住者が交代で一人月に1回ずつ食事当番を受け持ち、希望者が集い、みんなで食卓を囲みます。コモンミールを食べるかどうかは自由で、食べ方も、「今日は疲れたから1人でご飯を食べたい」「帰りが夜遅くなるから、ご飯とっておいて」等、自分の生活に合わせて選べるそうです。

 

4.独立した住戸

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※写真はスガモフラットの間取り図。HPより引用。

ハード面では、各世帯、独立した住戸になっているのが、コレクティブハウスの特徴の1つ。生活のシェアを大切にしながらも、1人の時間も大切にできるとのこと。単身世帯用の1Kからファミリー世帯用の1LDK、家賃も5万円台〜14万円台と、多様な家族形態・生活スタイルに対応可能な間取りが用意されています。

 

5.さまざまな世代・世帯の共同生活

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※写真は、スガモフラット居住者運営のブログ・スガモンズのブログより引用。

4.の間取りに対応して、コレクティブハウスには、単身者や家族世帯、子どもから高齢者まで、さまざまな世代・世帯の居住者が共同生活をしています。子どもの送り迎え等、多世代での共同生活ならではの、子育ての助け合い等もあるそうです。

 

スガモフラットとは?

スガモフラットとは、2007年2月にオープンした、戸数11戸のコレクティブハウス。以前は豊島区の児童館だったフロアを、児童館の移転に伴い、コンバージョンして誕生しました。居住希望者とCHCで、20回以上のワークショップを行い、家づくりを進めていったとのこと。現在は、大人15人に子どもが増えたり大きくなったりして、和気あいあいと賑やかに暮らしているそうです。

見学会では、CHCスタッフによる説明会と物件見学の後、入居者の方への質疑応答がありました。スガモフラットオープン前から、居住希望者ワークショップに参加・家づくりに関わり、夫婦で入居後出産を経験し、家族で暮らすAさんと、スガモフラット2年目に入居したBさん。そこで意見の飛び交ったスガモフラットの家づくりに関する、入居者のご意見、CHCスタッフのご意見をご紹介します。

 

スガモフラット住民に聞く!スガモフラットの家づくり

―Aさんにお伺いします。入居前のワークショップから今までを振り返って、スガモフラットのコミュニティはどのように育ってますか?

 

Aさん:入居前のワークショップでは、「こんな暮らしがしたい」というイメージから、家具の配置等のハード面、掃除当番やゴミ捨て当番、ハウスルール等のソフト面に至るまで、家づくりのありとあらゆる物事を話し合って決めました。約8か月間、20回以上ワークショップを行う中で、お互いに言いたいことを言い合う・些細なことでも話し合いを通して解決するという空気ができていきましたね。

入居前のワークショップで決まらなかったことは、入居後の定例会で引き続き話し合いをして決めました。スガモフラットには、シェアは楽だから・費用が安いからという理由で入居する人は少ないです。皆さん当事者意識が高く、話し合いをしようという意識を持つ人が多いんですよ。

 

―Bさんにお伺いします。Bさんはスガモフラット開設2年目に入居されたとのことですが、既存のコミュニティへの入りづらさ等、感じたことはありますか?

Bさん:それは特にありませんでした。スガモフラットには、新しい人たちを迎える文化があって、入居当初から馴染んでいけました。また、メンバーの入れ替わりや各々のライフステージの変化に応じて、ハウスルール等も変えていこうという共通認識もありますね。その場にいるメンバーで、気持ちよく暮らす工夫ができていると思います。

 

―話し合いで物事を決めていく、と聞くと、すごく大変そうに見えますが、実際どうですか?時間はかかりますか?

Aさん:テーマにもよりますが、やっぱり時間はかかりますね。ベランダの洗濯竿の数を増やすか否か、掃除当番のルール等、小さなことでも話し合います。安易に多数決を取ることはしません。

Bさん:それでも、洗濯機の故障等、緊急事態については、即時対応で、事後報告・話し合いということもあります。また、話し合いですぐには決まらないことは、「いったんこれで試してみよう」と試験的にやってみて、それからまた考えることもありますね。

Aさん何回も話し合いをしていくと、だんだん話し合いが上手になっていくんですよ。感情的にならずに、大人の対話をして、物事を決めていくことができていると思います。

 

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―スガモフラットに住んで良かったな、と思うことは何ですか?

Aさん子育ての助け合いですね。仕事の合間、夫婦共に家にいられない状況で、30分だけ子どもを預かってほしいと思った時に、外部のサービスを利用するのはちょっと気が引けるんですよ。費用面や、信頼の面も含めて。スガモフラットでは「ごめん、30分家を空けるから、この間子どもを預かってくれないかな?」と声をかければ、「いいわよー。うちの子と一緒に遊ばせておくね」等、誰かが助けてくれます。

日常生活を共にし、話し合いを通して信頼関係のある相手なので、声もかけやすいし、預けられる子どもも安心します。これは、単に一緒に住むだけではなく、日常の小さなことでも話し合いをして、共に解決してきたという互いへの信頼があるからこその、助け合いだと思います。

 

CHCスタッフに聞く!暮らしの「シェア」とは何か?

―TV等メディアの影響もあり、最近シェアハウスが注目されています。コレクティブハウスを運営する立場から見て、どう感じますか?

CHCスタッフ:人と繋がる暮らしを選ぶ人が増えているのは良いことですが、「シェア」とは何なのか?という点を改めて考えさせられますね。事業者の側には、共同生活の面倒くさい部分を排除して、メリットばかりを売り出しているケースも多いようにも見受けられます。

でも、面倒くさいことも含めて共有するのが、シェアなのでは?と私は思いますね。ソファーのカバーをどうするか・食費や備品の会計や準備等、そうした些細なこと・面倒くさいことも含めて、メンバーで話し合って解決する。それこそが、私たちCHCの考える「暮らしのシェア」であり、そこから生まれた信頼関係が、多様な人が出会い、つながりを育てるコレクティブハウスの醍醐味なのではないかと考えています。

 

入居前から家づくりに関わり、入居後も自主管理・運営を行うコレクティブハウス。

「面倒くさいことも含めて共有するのが、シェアなのでは?」というスタッフの方の問題提起が、とても心に響いた見学会でした。

CHCのスタッフの方、入居者の方、ありがとうございました!

 

※お問い合わせ先

現在は満室。(2015年11月24日現在)
NPOコレクティブハウジング社 http://www.chc.or.jp/index.html
居住に関するお問い合わせは、スガモフラット担当者までお願いします。

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